サウナを導入することは、施設の集客力を高める有効な手段です。
宿泊施設では滞在価値を、キャンプ場では非日常体験を提供できるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、サウナの施工は一般的な建築工事とは異なり、断熱・防水・耐火などの専門的な施工技術や、法令上の制約が多く存在します。
この記事では、サウナ施工の全体工程から、種類別の特徴、そして関係法令までをわかりやすく解説します。
サウナ施工方法の主な工程

サウナの施工は、以下の6段階に分けられます。
- 設計・プランニング
- 構造工事(断熱・防水・下地づくり)
- 設備工事(電気・換気・給排水)
- 内装仕上げ工事
- 試運転・検査・引き渡し
- 完成後の確認
それぞれの工程は密接に関係しており、初期段階での計画が後工程の仕上がりにつながります。
特に、施設の用途や客層に応じてサウナの種類を選定し、法令上の制約をクリアしながら進めることが重要です。
ここでは、実際のサウナ施工の各工程を、ステップごとに詳しく解説します。
ステップ1.設計・プランニング
サウナ施工の最初のステップは、全体計画を立てる「設計・プランニング」です。
設計段階での判断次第で、後の施工品質やコスト、さらには「営業許可取得のスムーズさ」まで左右されます。
まず重要なのは、サウナをどのような目的で導入するのかを明確にすることです。
宿泊施設であれば滞在型・貸切型か、スポーツジムであればトレーニング後の利用を想定するのか、キャンプ場であれば自然体験型か、など目的が異なれば必要な温度設定、定員、動線設計、換気方式も変わってきます。
次に、設置場所の条件確認です。
建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)、床荷重、天井高さ、既存の電源容量、給排水経路などを事前に調査します。
建物の構造や床荷重、天井の高さ、既存の電気容量、給排水経路などを踏まえた上で、「電気式」「ガス式」「薪式」などの熱源方式を選定します。
たとえば、屋内施設であれば電気ヒーターが主流です。
屋外キャンプ型では薪サウナが人気です。
設計プランの段階では、次のような項目を細かく決めていきます。
| 定員数の想定 | 1人あたり0.8〜1.2㎡を目安に設計する |
|---|---|
| 温度管理 | 内部温度は80〜100℃を基準とし、サウナストーブ出力は室内容積に応じて設定 |
| 換気計画 | 新鮮な空気を下から取り入れ、上部から排出する流れを設ける |
| 安全対策 | ・耐火材の配置や電気配線の防熱距離を確保 ・ストーブ周囲に遮熱板を設置 |
法令面の確認(建築確認申請や保健所の許可など)もしなければなりません。
また、設計の段階で利用者の動線設計もしましょう。
このように、「ステップ1」は単なる図面作成ではなく、運営・安全・法令・快適性すべてを見据えた総合計画づくりです。
丁寧に行うことで、後の施工工程がスムーズに進み、完成後の満足度が格段に高まります。
ステップ2.構造工事(断熱・防水・下地づくり)
構造工事では、サウナ室の性能を左右する重要な基礎部分を施工します。
各処理を正確に行わなければ、熱効率の低下や結露・カビの発生につながりかねません。
ここでの施工品質がサウナの寿命を左右します。
構造工事は以下の5つに分けられます。
- 断熱施工
- 防湿施工
- 防水施工
- 耐火処理
- 床施工
ここからは、サウナの構造工事について詳しく解説します。
断熱施工
サウナは高温環境を保つため、断熱材の選定が重要です。
グラスウールやロックウールなどの不燃性断熱材を用い、壁・天井に隙間なく充填します。
断熱が不十分だと、熱が逃げてヒーター効率が低下し、電力コストも上がります。
屋外型サウナでは外気との温度差が大きいため、一般的な住宅よりも厚めの断熱層が必要です。
防湿施工
断熱層の内側には、防湿フィルムを張り巡らせて湿気の侵入を防ぎます。
サウナ内は高温多湿のため、適切な防湿処理を行わないと、壁内部で結露が発生し、木材の劣化や断熱材の性能低下を招く恐れがあります。
施工時は、継ぎ目部分のテープ処理や貫通部の密閉性確保がポイントです。
防水施工
特にスチームサウナやシャワー併設型では、防水施工が必須です。
防水シートや塗膜防水を下地に施し、床や立ち上がり部分を完全に防水します。
防水層の欠陥は、下階への漏水トラブルやカビ被害を引き起こすため、仕上げ材の前に十分な乾燥・検査を行う必要があります。
耐火処理
電気ヒーターや薪ストーブなど、熱源周辺には耐火ボードや不燃材の施工が求められます。
可燃材からの離隔距離を確保し、メーカー指定の安全基準を遵守することが重要です。
離隔距離とは、安全を確保するために、物体と物体との間に設けられる一定の距離のことです。
たとえば、薪サウナではストーブ周囲に30〜50cmの不燃領域を設け、壁・床ともに耐火レンガや金属パネルで保護します。
床施工
床は耐熱性と排水性を兼ね備えた素材を選びます。
木製の場合は腐食防止処理を行い、排水勾配を確保して水溜まりを防ぎます。
タイル仕上げの際は、滑り止め加工と防水層が切れ目なく繋がっている状態を確保することが大切です。
ステップ3.設備工事(電気・換気・給排水)
サウナの快適性と安全性を左右するのが設備工事です。
温度管理や湿度コントロールのための電気・換気・給排水設備は、専門資格を持つ業者による施工が義務付けられています。
設備工事は以下の4つに分けられます。
- 電気工事
- ヒーター設置
- 換気工事
- 給排水工事
ここからは、サウナの設備工事について解説します。
電気工事
サウナヒーターは高出力のため、専用回路・ブレーカーを設ける必要があります。
電気配線は耐熱ケーブルを使用し、絶縁・接地処理を確実に行うことが大切です。
温度計や照明の配線も同時に行い、熱と湿気に強い設計が求められます。
ヒーター設置
ヒーターの種類(電気式・ガス式・薪式)によって設置条件は異なります。
電気式は温度制御がしやすく、屋内サウナに適しています。
薪式は煙突工事が必要で、屋外設置が原則です。
設置時には離隔距離・換気経路・防火材の有無を確認し、メーカーの施工マニュアルに沿って安全基準を満たす必要があります。
換気工事
サウナ室の換気は「吸気」と「排気」をセットで設計します。
適正な換気が行われないと、酸欠や温度ムラ、カビ発生の原因になります。
一般的に吸気口はヒーター付近に、排気口は対角線上部に設けるのが基本です。
給排水工事
スチームやロウリュ機能を備えたサウナでは、給排水設備が不可欠です。
温水供給ラインと排水勾配を正確に設計し、排水トラップを設けて臭気の逆流を防ぎます。
特にロウリュ対応サウナでは、水がヒーターに直接かからないよう配慮しましょう。
ステップ4.内装仕上げ工事
構造・設備が整ったら、仕上げ工程に入ります。
サウナの雰囲気や快適性を左右する重要な段階であり、木材の選定や施工精度によって体感温度や居心地が変わります。
内装仕上げ工事は以下の5つです。
- 内装木材施工
- ベンチ施工
- ドア施工
- 照明・計器施工
- 仕上げ防汚処理
ここからは、サウナの内装仕上げ工事について解説します。
内装木材施工
サウナ室の内装には、熱に強く香りのよい木材(ヒノキ、フィンランドパイン、レッドシダーなど)が使用されます。
表面温度が均一になるよう張り方向を工夫し、釘やビスが露出しないように施工します。
また、木材には含水率の低い乾燥材を使用し、膨張や収縮による反りを防ぐことが重要です。
仕上げ後には、木の香りを活かしつつ汚れや汗が染み込みにくい専用オイルで軽く保護処理を行う場合もあります。
さらに、照明や温度計の位置とのバランスを考え、視覚的にも落ち着いた空間になるようデザインすることがポイントです。
ベンチ施工
ベンチは使用者の快適性と安全性につながります。
段差を2〜3段に分けて設置し、温度差を体感できるよう高さを調整します。
耐荷重やメンテナンス性を考慮し、取り外し可能な構造が望ましいです。
施工時には、座面の隙間を適度に空けて通気性を確保し、熱気の滞留やカビの発生を防ぎます。
角の面取りを施して肌の接触時の痛みを防止することも大切です。
施設によっては、照明や間接光をベンチ下に仕込むことで、落ち着いた高級感を演出するケースもあります。
ドア施工
ドアは耐熱ガラスや断熱木製ドアを使用し、開閉方向は必ず外開きにします。
緊急時に安全に脱出できるよう、ロック機構を設けないのが原則です。密閉性と安全性を両立させる設計が求められます。
特にサウナ室の気密性を高めすぎると、換気効率が低下するため、ドア下部に数ミリ程度の通気隙間を確保するのが一般的です。
取手部分は高温でも握りやすい木製を採用し、金属部品は熱伝導による火傷を防ぐため極力避けます。
さらに、透明ガラスを用いることで外部から室内の安全確認がしやすくなり、業務用施設では防犯面でも安心です。
照明・計器施工
サウナ用照明は防湿・耐熱仕様のLEDを選び、まぶしさを抑えた間接照明が一般的です。
温度計や湿度計は出入口付近に取り付け、利用者が安全に確認できる位置に配置します。
また、光源の色温度は暖色系を選ぶと、落ち着いた雰囲気を演出できます。
照明器具の電源ケーブルは耐熱被覆タイプを使用し、ヒーターや高温部から十分な距離を取ることが必要です。
さらに、最近ではIoT対応のサウナ制御パネルを導入し、温度・湿度・照明を自動制御できる施設も増えています。
仕上げ防汚処理
仕上げの最後には、木材表面に防汚・防カビ処理を施します。
専用のオイルや耐熱塗料を用い、衛生性と耐久性を高めます。
特に公共利用のサウナでは、汗や皮脂汚れが蓄積しやすいもの。
したがって、透湿性のある自然系ワックスで定期的にメンテナンスするのが理想です。
塗布時には換気を行い、完全乾燥を確認してから加温運転を開始します。
さらに、壁やベンチなど頻繁に接触する部分には、抗菌性のある仕上げ剤を選んでみましょう。
すると、長期間にわたり清潔な環境を維持できます。
ステップ5.試運転・検査・引き渡し
施工完了後は、ヒーターや換気、照明など全設備の動作確認を行います。
温度上昇の速度や安全装置の作動、排気効率などをチェックし、問題がなければ施主立ち会いのもとで引き渡しです。
また、この段階で消防・保健所などの行政検査が必要なケースもあります。
ステップ6.完成後の確認
施工が終わったら、実際にサウナが安全に快適に動くかを確認します。
具体的には次のような点を見ましょう。
- 室温がしっかり上がるかどうか(おおよそ90℃に達するまでの時間をチェック)。
- ロウリュを行ったときに温度や湿度がどう変化するかを確認
- 空気の入れ替えがきちんとできているかを確認(二酸化炭素や酸素のバランスを見るのが目安)
- 温度センサーや過熱防止装置など安全機能が正しく働くかどうかも確認
こうしたチェックをきちんと行うことで、利用者が安心して入れる状態に仕上がっているかを判断できます。
引き渡し後も、定期的なメンテナンスが欠かせません。
木材の乾燥状態やヒーターの動作、換気性能などを確認し、快適な状態を保ちましょう。
初期の1〜2か月は、使用状況に応じて細かな調整を行うのが理想です。
サウナの種類別施工方法の特徴

サウナにはさまざまな種類があります。
それぞれ、次のように施工上のポイントや必要設備が異なります。
- ドライサウナ(高温・低湿)
- フィンランド式サウナ(ロウリュ対応)
- スチームサウナ(蒸気式)
- 薪サウナ(薪ストーブ式・屋外型)
ここからは、サウナの種類別施工方法の特徴を詳しく解説します。
ドライサウナ(高温・低湿)
100℃前後の高温・低湿環境を作るサウナで、電気ヒーターを用いるケースが一般的です。
施工時は断熱と換気のバランスが重要で、熱を逃がさず空気を循環させる構造が求められます。
室内には、乾燥に強い木材を使いましょう。
また、室内の温度分布を均一に保つためには、ヒーターの設置位置やベンチの段差配置も重要な要素です。
特に業務用では、温度センサーの誤作動を防ぐために、電気機器を断熱層内に収めず、点検口を設ける設計が望まれます。
さらに、熱が集中しやすい天井部は、放熱を抑えるために多層構造の断熱仕上げを採用することが推奨されます。
フィンランド式サウナ(ロウリュ対応)
ドライサウナに比べて温度はやや低く、湿度を上げるためにロウリュ(熱した石に水をかける)設備を設けます。
ヒーター周囲の防水処理と排水経路の設計がポイントで、ロウリュ水が下地に浸透しないよう対策が必要です。
さらに、ロウリュ対応のサウナでは、蒸気の上昇を均一に拡散させるため、天井高さや吸気・排気のバランス設計も重要です。
水をかけた瞬間に蒸気が逃げすぎないよう、サウナストーンの形状や配置を工夫することで、熱気が優しく体を包み込む体験ができます。
加えて、湿度の上昇により木材が劣化しやすくなるため、防カビ処理や換気能力の確保が欠かせません。
スチームサウナ(蒸気式)
蒸気を発生させるボイラーを使用し、湿度100%近い環境を作るタイプです。
防水・防カビ対策を徹底する必要があり、壁面や天井をタイル仕上げにすることが多いです。
給排水・換気の設計精度が仕上がりにつながります。
また、蒸気の吹出口は利用者に直接あたらないよう、位置と角度を慎重に設計することが重要です。
天井には結露水が滴り落ちないよう緩やかな勾配を設け、熱気と湿気を均一に分散させる工夫を行います。
さらに、スチーム発生装置は定期的な水垢や錆清掃が必要で、メンテナンススペースを十分に確保しておくことがおすすめ。
薪サウナ(薪ストーブ式・屋外型)
薪サウナはキャンプ場やグランピング施設で人気のタイプです。
煙突工事や耐火施工が必須で、屋外での設置を前提としています。
自然素材の温もりや炎のゆらぎを活かす設計が魅力です。
しかし、火災防止のために防火区域や建築基準法の確認が欠かせません。
さらに、煙突の高さや排気方向にも注意が必要。
周囲の建物や植栽への影響を避けるため、風向きや地形を考慮した配置計画を行いましょう。
薪ストーブの周囲には十分な換気スペースを設け、灰の処理や薪の保管場所も動線に組み込むと運用がスムーズです。
サウナ施工方法と一緒に知っておきたい法令や基準

サウナの施工には、複数の法令が関係します。
施工ミスや無許可工事は罰則の対象となることもあるため、設計段階から法的要件を確認することが重要です。
サウナ施工方法と一緒に知っておきたい法令や基準は以下の4つです。
- 建築基準法
- 消防法
- 公衆浴場法
- 電気工事士法
ここからは、サウナ施工方法と一緒に知っておきたい法令や基準について詳しく解説します。
建築基準法
サウナ室を増築・改修する場合は、建築基準法に基づく用途変更や構造基準への適合が求められます。
特に、防火・耐火性能、換気設備、避難経路の確保が重要です。
さらに、建物の構造体に影響を与える改修を行う場合は、建築確認申請が必要となる場合があります。
たとえば、既存施設の一部をサウナに改装する際には、床荷重や天井高さ、換気量が基準を満たしているかを確認しなければなりません。
サウナ室の位置によっては、避難経路や非常口の設計を見直すケースもあり、設計段階で建築士と行政との事前協議を行うことが推奨されます。
消防法
サウナには高温機器や可燃物が多く、火災リスクが高いことから消防法の規制対象です。
防火管理者の選任、防火区画の設定、消火設備の設置などが必要です。
特に、電気ヒーターや薪ストーブを使用する場合は注意。
可燃物からの離隔距離や排気経路の確保など、安全基準に沿った設計が求められます。
また、サウナ室周辺には感知器や消火器、誘導灯を設けることが望ましいです。
さらに消防署への事前相談を行うことで、検査時の指摘や工期遅延を防げます。
施設の用途変更や増築を伴う場合には、「消防同意」が必要になるケースもあるため注意が必要です。
公衆浴場法
宿泊施設や温浴施設でサウナを一般客に提供する場合、公衆浴場法の適用を受けます。
営業許可を得るためには、保健所への申請と施設検査が必要です。
給排水・清掃・衛生管理基準を満たすことが条件となります。
特に、サウナ室内の温度・湿度管理や換気性能、清掃頻度などが衛生基準に含まれ、利用者の安全と快適性を確保するための重要な項目となります。
施設の改装や増設を行う場合は、工事前に図面を提出して事前協議を行うと良いです。
また、営業許可取得後も、定期的な衛生点検や水質検査の報告を求められるケースがあります。
電気工事士法
サウナヒーターなどの高電圧機器を設置する際は、必ず有資格者による施工が義務付けられています。
無資格での施工は法令違反となり、事故時の保険適用も受けられません。
特に電気式サウナでは、200Vの高出力電源を使用するため、配線の絶縁・アース接続・ブレーカー設定などを国家資格者(第一種・第二種電気工事士)が行う必要があります。
施工後には、絶縁抵抗試験や漏電検査を実施し、安全基準を満たしているか確認しなければなりません。
さらに、定期的な保守点検を行うことで、経年劣化によるショートや過熱事故を未然に防ぐことができます。
施工方法を知ってスムーズにサウナを開業しよう!

引用元:カナディアンサウナ「オーロラ」
サウナの施工は、見た目のデザインだけでなく、構造・設備・法令のすべてが連動して成り立つ専門的な工事です。
工程ごとのポイントを理解しておくことで、業者との打ち合わせがスムーズになり、想定外のコストやトラブルを防ぐことができます。
適切な施工方法を把握し、法令を順守しながら自社施設に最適なサウナを実現しましょう。
良質なサウナは、施設の魅力を高める投資価値の高い設備です。
私たちが提供するカナディアンサウナは、その名の通りカナダ発のサウナです。
高級感のあるデザインで、サウナの機能も本格的。
そのため、高級志向の宿やグランピング施設などにおすすめ。
水風呂や樽型の湯船のご用意もあるため、カナディアンサウナ一式でサウナ環境を整えられます。
サウナをお探しの方は、ぜひカナディアンサウナを検討してみてください。

