サウナ導入を検討する際、設備やヒーターと並んで重要になるのが「木材選び」です。
サウナは高温で、湿度が変動する特殊な環境で長期間使用されるため、一般的な内装材とは異なる観点で素材を選ばなければなりません。
とくに事業用途では、安全性や耐久性だけでなく、利用者の体感や施設全体の印象にも関わります。
この記事では、サウナ素材として使われる代表的な木材の特徴と、事業者が押さえておきたい選び方の考え方を解説します。
サウナにおける木材の役割

サウナにおいて木材は、単なる内装材ではなく、利用者の安全性や快適性を支えるものです。
高温環境にさらされる中で、肌に直接触れる部位が多いため、素材の性質がそのまま体感品質につながります。
また、木材の特性はサウナ室全体の温度や湿度の安定にも関与しており、設計段階から意識すべきポイントです。
サウナにおける木材の役割は次の3つです。
- 高温環境でも直接触れられる程度の温度を保つ
- サウナ室の温熱環境を安定させる
- 湿度変化を緩和する
ここからは、木材の役割についてそれぞれ詳しく解説します。
高温環境でも直接触れられる程度の温度を保つ
サウナ室内は80~100℃前後になることが多いです。
しかし、木材は金属や石材と比べて表面温度が上がりにくい性質を持っています。
表面温度が上がりにくい特性によって、ベンチや背もたれに素肌で触れても、火傷のリスクを抑えることが可能です。
たとえば、同じ温度環境でも金属製の部材は一瞬で熱さを感じます。
しかし、木材であれば比較的穏やかな触感を保てます。
サウナ室の温熱環境を安定させる
木材は内部に空気層を多く含んでおり、急激な温度変化を和らげる働きがあります。
このため、サウナ室内の熱が均一に広がりやすく、利用者がどの位置に座っても体感差が比較的出にくいです。
温度ムラが少ない空間は、長時間の利用でも疲れにくく、満足度向上につながります。
湿度変化を緩和する
サウナではロウリュなどによって湿度が変動します。
しかし、木材は適度に水分を吸放出する性質を持っています。
調湿作用により、急激な蒸し暑さや乾燥を抑え、呼吸しやすい環境の維持が可能です。
結果として、刺激の少ない穏やかなサウナ体験が可能です。
サウナ用木材に必要な基本性能

サウナに使用される木材には、一般的な建築材以上に厳しい条件を満たさなくてはなりません。
高温・高湿度環境が日常的に繰り返されるため、性能面での見極めが不可欠です。
サウナ用木材に必要な基本性能は次の7つです。
- 耐熱
- 低熱伝導
- 耐久力
- 湿度耐性
- 香りや成分が低刺激であること
- 加工しやすさ
- 衛生環境の維持しやすさ
ここからは、サウナ用木材に必要になる基本性能について解説します。
耐熱
サウナ室内は常に高温状態が維持されるため、木材には高い耐熱性が必要です。
耐熱性が不足している素材では、反りや割れが発生しやすく、見た目や安全性に影響を及ぼします。
結果として、早期の補修や交換が必要となり、運営コストの増加につながるおそれがあります。
そのため、長期間の使用を前提に、熱に強い木材を選ぶことが重要です。
低熱伝導
熱伝導率が低い木材は、表面温度が過度に上昇しにくいという特徴があります。
表面温度が過度に上昇しにくい性質により、利用者がベンチや背もたれに直接触れても、熱さを感じにくくなります。
とくに肌が長時間接触する部位では、快適さを左右するポイントです。
安全性と快適性の両面から、低熱伝導の木材は欠かせません。
耐久力
事業用サウナは不特定多数の利用が想定されるため、木材には一定以上の強度が必要です。
座る、立つといった動作が繰り返されることで、摩耗や荷重による劣化が進みやすくなります。
耐久力の高い木材を採用することで、破損リスクを抑え、安定した運営が可能です。
結果として、修繕頻度を減らし、長期的なコスト管理にもつながります。
湿度耐性
サウナは高湿度環境が日常的に繰り返されるため、木材の湿度耐性は必須の性能です。
湿気に弱い素材を使用すると、腐朽やカビが発生しやすくなります。
湿度に強い木材であれば、清掃や乾燥を適切に行うことで、良好な状態を維持しやすくなります。
衛生管理のしやすさという点でも、湿度耐性は見逃せません。
香りや成分が低刺激であること
木材の種類によっては、加熱時に香りや刺激成分を放出するものがあります。
サウナでは呼吸が深くなるため、香りの影響を受けやすいです。
刺激が強すぎると、快適性を損なうだけでなく、利用者の好みが分かれる原因にもなります。
そのため、穏やかな香りで低刺激な木材を選ぶことが望まれます。
加工しやすさ
サウナ室の施工では、曲面への対応や細かな寸法調整が必要になる場面が少なくありません。
そのため、木材の加工しやすさは施工精度や仕上がり品質につながります。
加工性の高い木材であれば、継ぎ目や角の処理が丁寧に行いやすくなります。
結果として、見た目の美しさだけでなく、利用時の安全性向上にも関わるのです。
衛生環境の維持しやすさ
サウナは高温多湿という特性上、日常的な衛生管理が欠かせません。
見た目の清潔感だけでなく、臭気の発生抑制や劣化進行の抑制まで含めて維持しやすいかどうかを判断しましょう。
日常管理で意識すべき点は次の3つです。
- 清掃
- 乾燥
- 表面保護
ここからは、衛生環境の維持のしやすさについて、日常管理で意識すべき点を解説します。
清掃
皮脂や汗が木材表面に残留すると、黒ずみや臭気の原因になります。
日常的には硬いブラシを避け、乾拭きや軽い水拭きで表面の付着物を除去できる素材かどうかが重要です。
表面が滑らかで凹凸の少ない木材は、汚れが入り込みにくい特徴があります。
そのため、日常的な拭き掃除や洗浄が行いやすくなります。
乾燥
高温多湿の状態が長時間続くと、木材内部に水分が滞留しやすいです。
営業終了後に換気を行い、木材全体を均一に乾かせる構造と素材であるかどうかが、衛生状態の安定につながります。
通気性を考慮した木材選びは、日常管理のしやすさにも影響します。
結果として、長期間にわたり安定した品質の維持が可能です。
表面保護
木材の表面状態が荒れると、汚れが入り込みやすくなります。
高温環境に耐え、臭気や刺激を発生させにくい保護処理が可能な素材であれば、長期的な衛生管理が簡単です。
保護処理が可能な木材は、日々の管理負荷を抑えつつ、安定した衛生環境を維持しやすくなります。
サウナ素材としてよく使われる木材

サウナ素材としてよく使われる木材は次の5つです。
- 杉
- ヒノキ
- スプルース
- アスペン
- ウェスタンレッドシダー
ここからは、各材料の特徴も一緒に詳しく見ていきましょう。
杉
杉は軽量で加工しやすく、比較的コストを抑えやすい木材です。
熱伝導率が低く、触れた際の熱さを感じにくい点が評価されています。
香りも穏やかで、日本の施設では馴染みやすい素材といえます。
杉の特徴は以下の通りです。
- 熱伝導率が低く、高温時でも表面が熱くなりにくい
- 比重が軽く、柔らかいため、ベンチなど身体が触れる部位に適している
- 吸放湿性に優れ、湿度変化を緩やかに感じさせる
- 香りが穏やかで、高温環境でも刺激が強くなりにくい
- 加工性が高く、サウナ特有の構造に対応しやすい
ヒノキ
ヒノキは耐久性と耐水性に優れ、高級感のある見た目が特徴です。
上品な香りがサウナ体験を演出し、特別感を重視する施設に向いています。
一方で、材料費はやや高めになります。
ヒノキの特徴は以下の通りです。
- 杉より硬く、摩耗に強い
- 耐水性が比較的高く、高湿環境に強い
- 香りがはっきりしており、空間の印象を左右する
- 表面温度は比較的安定しているが、触感はやや硬め
スプルース
スプルースは北欧サウナで広く使われてきた木材で、安定した品質が特徴です。
クセの少ない見た目と香りで、どのような施設デザインにも合わせやすい素材です。
スプルースの特徴は以下の通りです。
- 熱伝導率が低く、サウナ素材としての安全性が高い
- 色味が明るく、見た目が均一になりやすい
- 香りが控えめで、素材の主張が少ない
- 比較的軽く、加工もしやすい
アスペン
アスペンは熱を伝えにくく、ベンチ材として人気があります。
表面が滑らかで肌触りが良く、長時間座っても不快感が出にくい点が評価されています。
アスペンの特徴は以下の通りです。
- 熱伝導率が低く、触れても熱さを感じにくい
- 香りがほとんどなく、無臭に近い
- 表面が滑らかで、均一な触感
- 木ヤニが出にくく、高温環境でも安定している
ウェスタンレッドシダー
ウェスタンレッドシダーは耐湿性と防腐性に優れ、湿度の高い環境でも劣化しにくい木材です。
甘く爽やかな香りは、リラックス効果があるともいわれています。
アウトドア系施設との相性が良い素材です。
ウェスタンレッドシダーの特徴は以下の通りです。
- 天然の耐腐朽性が高く、湿度変化に強い
- 虫害・腐食に強い性質を持つ
- 独特で存在感のある香りを持つ
- 比較的軽量だが、繊維はやや粗い
私たちが取り扱う屋内サウナでは、ウエスタンレッドシダーを使っています。
サウナの部位ごとの適した木材

サウナは部位ごとに求められる性能が異なるため、同じ木材をすべてに使う必要はありません。
用途に応じた選定が重要です。
サウナの木材を使う主な部位は次の通りです。
- ベンチ
- 背もたれ・肘掛け
- 壁(内壁)
- 天井
- 床(踏み板・すのこ)
ここからは、サウナの部位ごとに適した木材を紹介します。
ベンチ
ベンチは利用者が最も長時間肌を直接触れ続ける部位です。
そのため、表面温度が上がりにくい低熱伝導の木材が適しています。
あわせて、座った際の不快感を抑えるため、表面が滑らかでささくれが出にくいことも重要です。
杉やアスペン、スプルースなどがベンチ材として多く採用されています。
| 適した木材 | 理由 |
|---|---|
| 杉 | 柔らかく、肌当たりが優しい |
| アスペン | 無臭・低熱伝導で安定感が高い |
| スプルース | クセが少なく、均一な触感 |
背もたれ・肘掛け
背もたれや肘掛けは、体重を預ける場面が多く、体感の良し悪しが利用満足度につながります。
熱さを感じにくく、肌当たりが柔らかい木材が必要です。
また、繰り返し触れる部分であるため、ささくれや劣化が起きにくい素材選びが重要です。
快適性と安全性の両立が求められる部位といえます。
| 適した木材 | 理由 |
|---|---|
| 杉 | 柔らかさと香りの穏やかさが特徴 |
| アスペン | 均一な触感で違和感が少ない |
壁(内壁)
内壁はサウナ室全体の印象を左右する木材です。
調湿性を備えた木材を使用することで、湿度変化を緩やかにし、快適な空間を維持しやすくなります。
あわせて、長期間の使用に耐えられる耐久性も必要です。
杉やスプルースは、見た目と機能性のバランスから多くの施設で採用されています。
| 適した木材 | 理由 |
|---|---|
| 杉 | 吸放湿性が高く、空間が穏やかになる |
| スプルース | 均一な見た目で安定感がある |
| ウェスタンレッドシダー | 耐久性が高く、素材感が強い |
天井
天井はサウナ室内でも特に高温になりやすい部位です。
そのため、熱による反りや割れが起こりにくい、寸法安定性の高い木材が必要です。
天井材の劣化は見た目だけでなく、安全性にも影響します。
結果として、品質の安定した木材が選ばれる傾向があります。
| 適した木材 | 理由 |
|---|---|
| 杉 | 断熱性が高く、温度ムラを抑えやすい |
| スプルース | 軽量で反りにくい |
床(踏み板・すのこ)
床部分は水分が溜まりやすく、サウナ内でも特に湿度の影響を受けやすい箇所です。
そのため、耐湿性が高く、乾燥しやすい木材が適しています。
踏み板やすのこは、清掃や乾燥のために取り外しできる構造と組み合わせることが一般的です。
木材選びは、日常管理のしやすさにもつながります。
| 適した木材 | 理由 |
|---|---|
| ヒノキ | 耐水性が高い |
| ウェスタンレッドシダー | 耐腐朽性に優れる |
木材サウナにおける経年変化

木材は使用年数の経過とともに、色味が深まったり、表面の質感が変化したりします。
こうした変化は必ずしも劣化ではなく、天然素材ならではの風合いとして味わうことも一般的。
適切な清掃や乾燥などの管理を続けることで、経年変化が施設の落ち着いた雰囲気や個性につながる場合もあります。
一方で、木材の種類や使用環境によっては、反りや割れ、想定以上の変色が起こる可能性もあります。
そのため、導入段階で経年変化の特性を理解した素材選びと、長期的なメンテナンス計画を立てておくことが重要です。
「サウナの素材」として木材を選ぶ際の注意点

事業用サウナでは、見た目や価格だけでなく、長期運営を前提とした視点が欠かせません。
「サウナの素材」として木材を選ぶ際の注意点は次の6つです。
- サウナ環境を前提とした素材か
- 安全性・体感に配慮されているか
- 高温時の香りや成分に問題がないか
- 経年変化を想定できるか
- 認証や由来を説明できるか
- 将来的な補修時に同等材を確保できるか
ここからは、サウナ用木材を選ぶ際の注意点について解説します。
サウナ環境を前提とした素材か
サウナは高温・高湿度が繰り返される特殊な環境であり、一般的な内装用木材とは求められる性能が異なります。
一般建材を流用すると、短期間で反りや割れが生じるなど、想定外の劣化につながる可能性があります。
そのため、サウナ用途としての使用実績があり、環境特性を考慮して選定された素材かどうかを確認することが重要です。
結果として、安定した品質と安全性の確保につながります。
安全性・体感に配慮されているか
サウナでは利用者がベンチや背もたれなどに直接触れるため、素材の体感性能が重要です。
高温時でも表面温度が上がりにくく、肌への刺激が少ない設計であるかを確認しなければなりません。
安全性への配慮が不足すると、火傷や不快感の原因になるおそれがあります。
快適に安心して利用できる体感設計が、施設評価にも影響します。
高温時の香りや成分に問題がないか
木材の種類によっては、高温になることで香りや刺激成分を放出する場合があります。
サウナでは呼吸が深くなるため、香りの影響を受けやすい点に注意が必要です。
不快な臭いや刺激があると、利用者の満足度を下げる要因になります。
実際の使用温度を想定し、問題がない素材かどうかを事前に確認することが重要です。
経年変化を想定できるか
木材は使用を重ねることで、色味や質感が徐々に変化するものです。
こうした経年変化を風合いとして許容できるかどうかは、施設コンセプトによって判断が分かれます。
想定以上の変形や変色が起こる素材を選ぶと、補修や交換の頻度が増える可能性があります。
導入時点で数年後の状態を見据えた判断が必要です。
認証や由来を説明できるか
事業用施設では、利用者や関係者に対して素材の安全性を説明できることも重要です。
森林管理や流通経路が明確な木材であれば、素材の由来や考え方を説明しやすくなります。
第三者認証が付与された木材は、説明時の根拠として扱いやすい傾向があります。
将来的な補修時に同等材を確保できるか
開業時だけでなく、補修や更新の段階で同等の木材を安定して入手できるかどうかも重要な判断軸です。
一時的な流通材のみを前提とすると、長期運営時に素材の不整合が生じやすくなります。
安定供給が見込める木材を選ぶことで、長期的な運営リスクを抑えられます。
木材を厳選してサウナをつくろう!

サウナに使われる木材は、利用者の安全性や快適性、そして施設の印象を左右します。
事業用サウナでは、短期的なコストだけでなく、長期的な運営やメンテナンスまで見据えた素材選びが必要です。
目的やコンセプトに合った木材を厳選することで、長く愛されるサウナ空間づくりにつながります。
カナディアンサウナではウェスタンレッドシダーを素材にしたサウナを提供しています。
日本では珍しいウェスタンレッドシダーを使ったサウナは、香りよく、リラックス効果があるといわれているのが魅力です。
他社との差別化を図りたい事業者におすすめです。
サウナで差をつけたい事業者の方は、カナディアンサウナを検討されてはいかがでしょうか。

