商業施設を取り巻く環境は、この数年で変化しました。
ECサイトの普及や娯楽の多様化により、「立地が良い」「店舗数が多い」だけでは、安定した集客を維持することが難しい現状です。
そうした現状を踏まえ、広報担当者や経営者の間では「広告費をかけても効果が続かない」「来館者数は増えても滞在時間が短い」といった悩みが聞かれることもあります。
本記事では、こうした商業施設特有の集客課題を整理したうえで、基本となる集客戦略と、近年注目されているサウナを活用した集客事例を紹介します。
商業施設の集客課題

商業施設の集客不振は、単一の原因ではなく、複数の要因が重なって起こるケースがほとんどです。
まずは、代表的な課題を一つずつ整理し、なぜ人が集まりにくくなっているのかを把握することが重要です。
商業施設の集客について、代表的な課題は次の通りです。
- ECサイトの利用拡大で人が来ない
- 近隣施設の増加による競争激化
- 周辺再開発・交通インフラ整備での商圏構造変化
- 新たな娯楽(イマーシブ体験など)の台頭
- テナントの魅力不足
- 行政規制や景観条例によって販促施策が制約されている
ここからは、商業施設の集客課題について詳しく解説します。
ECサイトの利用拡大で人が来ない
ネット通販の利便性が向上したことで、日用品や衣料品を「わざわざ施設まで買いに行く必要がない」と感じる消費者が増えています。
特に価格比較が容易な商品ほど、リアル店舗の優位性が薄れやすい傾向があります。
その結果、目的買いの来館者が減少し、「ついでに立ち寄る」「時間をつぶす」といった偶発的な来館も減ってしまうのが現状です。
近隣施設の増加による競争激化
大型商業施設やロードサイド型施設の新規出店が相次ぎ、商圏内の選択肢が増えています。
消費者は複数の施設を比較し、「その施設でなければならない理由」が見つからない場合、他の選択肢へ移りやすい傾向です。
似たようなテナント構成やイベント内容では、価格競争やキャンペーン合戦に陥りやすく、長期的な集客力を維持しにくくなります。
周辺再開発・交通インフラ整備での商圏構造変化
施設内部ではなく外部環境が要因のこともあります。
たとえば、新駅の開業や道路整備、再開発事業によって、人の流れが変わるケースです。
人の流れが変わると従来の商圏前提で立てた集客計画が崩れてしまいます。
早めに情報を押さえて、中長期の投資判断やテナント戦略に反映させる必要があります。
新たな娯楽(イマーシブ体験など)の台頭
体験型エンタメやデジタル技術を活用した施設が増え、消費者の「時間の使い方」は多様化しています。
単に買い物をするだけではなく、「非日常性」や「没入体験」を求める層が増えている点も無視できません。
こうした流れに対応できない施設は、若年層を中心に選ばれにくくなってしまいます。
テナントの魅力不足
テナント構成が固定化し、新鮮さを感じにくくなっている施設も少なくありません。
以前は人気だった店舗でも、時代の変化により集客力が落ちることがあります。
結果として、「何度も行く理由がない施設」になってしまうケースがあります。
行政規制や景観条例によって販促施策が制約されている
屋外広告やイベント実施に関して、行政規制や景観条例が厳しい地域もあります。
そのため、派手な装飾や大規模な販促が難しく、集客施策の選択肢が限られる場合があります。
集客イベントや装飾を組み立てる際に、そもそも何ができて何ができないのかを把握していないと、机上の企画に終わってしまうことも。
こうした制約下では、施設そのものの価値を高める施策が重要になります。
商業施設における集客の基本戦略

集客を立て直すためには、短期的なキャンペーンだけでなく、施設全体の設計や運営を見直すことが欠かせません。
商業施設における集客の基本的な考え方は次の通りです。
- 施設の魅力を言語化する
- テナント構成を整える
- 接客品質を整える
- 館内導線設計を見直して回遊性を高める
- 災害時も含め安心して滞在できる安全体制を整える
- 魅力的なイベント・体験型施策を実施する
- デジタル集客を強化する
- 顧客データを活用する
ここからは、多くの商業施設に共通する基本戦略を詳しく説明します。
施設の魅力を言語化する
まず重要なのは、「この施設は誰に、どんな価値を提供しているのか」を明確にすることです。
コンセプトが曖昧なままでは、広報施策もブレやすいです。
たとえば「家族で一日楽しめる」「大人がくつろげる時間を提供する」といった言語化は、施策選定の軸になります。
施設の価値が言語化されていない場合、実際より弱く認識される恐れがあります。
運営企業のミッション・ビジョン・バリューなどに基づいて、顧客にどんな体験をしてもらいたいのか、来店後に顧客にどうなっていてもらいたいのかを整理しましょう。
テナント構成を整える
テナント構成は、施設の印象を左右します。
来館目的を明確にするためにも、計画的な構成が欠かせません。
テナント構成を整える際は、以下のことに注意しましょう。
- 人気テナント・話題性のあるブランドを誘致する
- ターゲット層に合わせたテナントを誘致する
- 空きテナントを作らないよう短期テナントを誘致する
ここでは、テナント構成を整える際に気を付けたいことを解説します。
人気テナント・話題性のあるブランドを誘致する
集客の核となる店舗があると、来館動機が明らかになります。
SNSで話題になりやすいブランドは、広告効果も期待できます。
施設全体の認知度向上にもつながる点がメリットです。
ターゲット層に合わせたテナントを誘致する
ファミリー層、若年層、シニア層など、狙う客層に合ったテナント選定が重要です。
ターゲットとミスマッチな店舗が多いと、回遊性が下がります。
利用シーンを具体的に想定することが効果的です。
空きテナントを作らないよう短期テナントを誘致する
空き区画は施設全体の印象を悪くします。
ポップアップショップや期間限定店舗を活用することで、常に動きのある施設を演出可能です。
「行くたびに何か変わっている」という期待感も生まれます。
接客品質を整える
どれだけ建物や設備が整っていても、接客品質が低い状態では継続的な集客やリピート利用にはつながりません。
商業施設では個々のテナントが独立して運営されているため、施設全体としてサービス水準にばらつきが出やすい点が課題となります。
そのため、運営側が中心となり、テナントと連携しながら最低限の接客ルールや対応基準を共有することが重要です。
案内のわかりやすさ、衛生管理、清掃状態、トラブル対応(迷子、体調不良、紛失など)、災害対応といったスタッフ連携の整い方が、口コミやリピートに影響します。
館内導線設計を見直して回遊性を高める
来館者がストレスなく施設内を移動できる導線設計は、売上や満足度につながる要素です。
初めて訪れた人でも迷いにくく、次にどこへ行けばよいかが直感的に分かる構造であることが理想です。
館内導線設計を見直す際に気を付けたいポイントは次の通りです。
- 人気店を核にした回遊ルートを設計する
- 休憩スペースを効果的に配置する
ここでは、館内導線設計を見直す際に注意すべきことを解説します。
人気店を核にした回遊ルートを設計する
集客力の高い人気店や話題性のある店舗は、来館者を引き寄せる起点になります。
こうした店舗を単独で完結させるのではなく、周辺エリアへ自然に足を運ばせる導線を意識することが重要です。
たとえば、人気店から次のゾーンへ向かう途中に、立ち寄りやすい飲食店や物販店を配置すると、無理なく回遊を促すことができます。
結果として、来館者が施設全体を見て回る機会が増え、複数テナントの利用につながりやすくなります。
休憩スペースを効果的に配置する
長時間施設内に滞在してもらうためには、適度に休める場所を用意することが欠かせません。
買い物や体験の合間に一息つける空間があることで、来館者の疲労感を軽減できます。
ベンチやソファ、カフェスペースなどを要所に配置することで、「少し休んでからもう一度回ろう」という行動を促しやすくなります。
特にファミリー層や高齢者にとって、休憩スペースの有無は施設選びにおける判断材料です。
災害時も含め安心して滞在できる安全体制を整える
商業施設では、日常時の快適さだけでなく、非常時への備えも来館者から見られています。
防災設備の整備や避難経路の明確化、分かりやすい案内表示を行うことは、施設への信頼感を高めるために重要です。
特に災害時の対応について「ここなら安心して過ごせる」「指示が分かりやすい」と感じてもらえるかどうかは、施設の評価に影響します。
平時の警備体制、避難経路のわかりやすさ、緊急時の館内放送などが整っていることは、利用者にとって無意識の安心材料となり、結果としてファミリー層や高齢層の来館を支えることになります。
魅力的なイベント・体験型施策を実施する
商業施設の集客においては、物販や飲食だけに頼るのではなく、「ここでしか体験できない時間」を提供することが重要になっています。
商品を購入する行為はECでも代替できます。
しかし、実際に参加し、体感し、思い出として残る体験は、リアルな場でしか得られません。
特に家族連れや観光客にとっては、「何か面白いことがやっている」「子どもと一緒に楽しめる」といった体験要素が来館の動機になります。
イベントや体験型施策を実施する際に気を付けたいことは次の通りです。
- 季節イベント・限定ショップ開店を実施する
- ワークショップやキッズイベントなど体験型コンテンツを用意する
- 環境配慮やサステナビリティで施設イメージを高める
ここからは、イベントや体験型施策について解説します。
季節イベント・限定ショップ開店を実施する
季節感を取り入れたイベントやフェアは、来館のきっかけを作りやすい施策のひとつです。
春夏秋冬に合わせた装飾や企画は、「今行く理由」を明確にし、来館のきっかけを作ります。
期間限定ショップやポップアップストアは、「今を逃すと体験できない」という希少性を生み出す施策です。
この限定性が話題性を高め、SNSでの拡散や口コミによる集客効果も期待できます。
ワークショップやキッズイベントなど体験型コンテンツを用意する
ワークショップやキッズ向けイベントなどの参加型コンテンツは、来館者の滞在時間を自然に延ばす効果があります。
ただ見る・買うだけでなく、実際に手を動かしたり、学んだりする体験は、満足度を高めやすい点が特徴です。
特に子ども向けのイベントは、保護者の滞在時間を長くしやすく、飲食店や物販店舗の利用にもつながります。
「楽しかった」「また来たい」と感じてもらえる体験は、再訪意欲を高めます。
環境配慮やサステナビリティで施設イメージを高める
近年は、環境配慮やサステナビリティへの取り組みを重視する消費者が増えています。
商業施設としても、こうした社会的な価値観を反映した施策を打ち出すことが、ブランドイメージの向上につながります。
たとえば、省エネ設備、再生可能エネルギー活用、リサイクルといった取り組みは、来館者の共感を得やすい施策です。
共感を軸とした取り組みは、一時的な集客にとどまらず、企業利用やファミリー層の「ここを選びたい理由」になります。
デジタル集客を強化する
商業施設の集客においては、来館前にどれだけ施設の情報に触れてもらえるかが、集客の成否を左右します。
現在は、来館者の多くが「行くかどうか」を事前にスマートフォンで判断しており、オンライン上での情報発信は欠かせない要素となっています。
リアルな施設であっても、最初の接点はデジタルであるケースが大半です。
そのため、施設として意図した魅力が正しく伝わるよう、複数のデジタル媒体を活用しながら、継続的に情報発信を行わなければなりません。
デジタル集客を強化する際に注視したいポイントは次の通りです。
- 公式SNS(Instagram、X、TikTok)を活用する
- Googleビジネスプロフィールを運用する
- メルマガ・LINEでのリピート施策を実施する
- 施設の魅力が伝わる情報設計を行う
ここからは、具体的なデジタル集客それぞれについて詳しく解説します。
公式SNS(Instagram、X、TikTok)を活用する
SNS(Instagram、X、TikTok)は、商業施設の雰囲気や楽しさを直感的に伝えられる手段です。
写真や動画を通じて、施設の空気感や賑わいを伝えることで、「行ってみたい」という感情を喚起しやすくなります。
また、施設単体の発信だけでなく、テナントと連携した投稿を行うことで、情報の幅が広がります。
新店舗の紹介やイベントの裏側など、リアルタイム性のある発信は、来館のきっかけづくりに効果的です。
Googleビジネスプロフィールを運用する
Google検索やGoogleマップ上での表示は、新規来館者の獲得につながります。
「近くの商業施設」「〇〇 エリア 買い物」といった検索結果に表示されるかどうかは、集客に影響を与えます。
営業時間やイベント情報、写真を常に最新の状態に保つことで、来館前の不安を減らすことが可能です。
さらに、口コミへの丁寧な返信は、施設全体の信頼感を高めます。
メルマガ・LINEでのリピート施策を実施する
一度来館した顧客との接点を維持するためには、メルマガやLINEといった直接的な情報発信が有効です。
定期的に情報を届けることで、施設の存在を思い出してもらいやすくなります。
イベント情報やキャンペーン、会員限定の特典などを配信することで、再来館の動機を作ることができます。
特にLINEは開封率が高く、タイムリーな告知に適したツールです。
施設の魅力が伝わる情報設計を行う
SNS、Googleビジネスプロフィール、メルマガ、LINEを含め、公式HPなど各デジタル媒体で、店舗構成、館内テーマ、導線設計などの特徴を簡潔に示しましょう。
施設の魅力が伝わることで、訪問理由が作られやすくなるためです。
駐車場位置、営業時間、混雑傾向、目的別の回り方などを整理することで、初めての来館でも心理的負担が下がり、安心感につながります。
顧客データを活用する
商業施設の集客施策を効果的に行うためには、感覚や経験だけに頼らない運営が求められます。
来館者数や滞在時間、イベント参加状況などのデータを活用することで、施策の精度を高めることが可能です。
購買履歴や来館頻度を分析することで、どの施策が成果につながっているのかを把握しやすくなります。
回遊データ・客層分布・テナント売上の3データに基づいた改善を繰り返すことで、無駄の少ない集客施策を実行できるようになります。
商業施設×サウナの集客例

近年、商業施設とサウナを組み合わせた集客施策が注目を集めています。
サウナは「利用そのものが目的になるコンテンツ」であり、単なる付帯設備ではなく、来館動機を明確に生み出せる点が評価されています。
また、サウナ利用には一定の滞在時間が必要となるため、施設内での回遊や飲食利用につながりやすい特徴があります。
商業施設とサウナを組み合わせた集客例は以下の施設です。
- YUBUNE SAUNA PARK 羽生
- saunahouse
- サウナパーキングイオンモール宮崎
- 高輪SAUNAS(2025年冬オープン予定)
- AQUAIGNIS GARDEN SPA(軽井沢T-SITEに2026年3月開業予定)
ここからは、商業施設とサウナを組み合わせることで集客力を高めている代表的な事例を詳しく見てみましょう。
YUBUNE SAUNA PARK 羽生
「YUBUNE SAUNA PARK 羽生」はイオンモール羽生にある銭湯と屋外サウナを組み合わせた温浴施設です。
銭湯では男女別で入れるお風呂とサウナ、屋外エリアでは水着や着衣で楽しめるサウナやお風呂があります。
従来の銭湯・サウナユーザーを取り入れつつ、カップルやファミリー層をターゲットとしたサウナです。
「YUBUNE SAUNA PARK 羽生」に隣接する「レクトーレ羽生TERRACE」では宿泊も可能です。
イオンモールで買い物や映画を楽しんだあと、銭湯・サウナですっきりし、場合に応じてそのまま泊まれる施設になるため、1日中こちらの施設で過ごせる形になっています。
saunahouse
「saunahouse(サウナハウス)」は川崎市にある複合商業施設「ラ チッタデッラ」にあるサウナ特化型施設です。
5~6階は女性サウナ、3~4階は男性サウナになっており、男女別で気兼ねなくリラックスすることができます。
外気浴はベランダで行うことができ、本格的に「ととのう」ことが可能です。
「ラ チッタデッラ」には映画館もあり、映画チケットの提示でペットボトル1本プレゼントのキャンペーンを実施しています。
サウナパーキングイオンモール宮崎
「サウナパーキングイオンモール宮崎」はイオンモール宮崎の駐車場を生かしたサウナです。
デッドスペースになりがちな駐車場を有効活用した例です。
食事など自然と商業施設を使うことになり、長期滞在を促しています。
「サウナついでに買い物をする」など、商業施設の利用を促している点もメリットです。
高輪SAUNAS(2025年冬オープン予定)
「高輪SAUNAS」は高輪ゲートウェイ駅直結、ニュウマン高輪内にオープン予定のサウナ施設です。
「マンガ サ道」の原作者・タナカカツキさんがプロデュースを務めます。
男女それぞれが楽しめる新たな趣向を凝らした合計9つのサウナ室ができる予定です。
サウナのほかにもレストランやコワーキングスペース、会議室などが併設されます。
買い物ついでや仕事ついでの顧客がターゲットです。
AQUAIGNIS GARDEN SPA(軽井沢T-SITEに2026年3月開業予定)
「AQUAIGNIS GARDEN SPA」は、2026年3月に開業予定の軽井沢T-SITEにオープンするサウナです。
軽井沢T-SITEは「食べる」「過ごす」「安らぐ」の3テーマでできる施設です。
テーマ通りレストラン、ショッピング、サウナ・宿泊を楽しむことができます。
観光客が買い物、食事、サウナを楽しんだ後はゆっくり泊まれるというのが魅力です。
カナディアンサウナで商業施設の集客を強化しよう!

商業施設における集客強化には、「その施設でしか体験できない価値」をつくることが不可欠です。
サウナは、滞在時間の延長や目的来館の創出に効果的なコンテンツの一つです。
カナディアンサウナは、まだ日本に来て間もないサウナのため、他施設と差を出すことができます。
インパクトのある見た目、ラグジュアリーさ、心地よい体験を提供できます。
もし、集客に悩んでいるのであれば、商業施設の新たな目玉として、カナディアンサウナを検討してみてください。

